2017-05-23

孤独な鬼ごっこ【影織夢語】

よく不思議な夢を見るので、「影織夢語」とシリーズ名をつけて記事を書いていくことにしました。今回の記事の他、これまでにもう2編、「インフルエンザA型緊急対策本部を訪問した話」と「ひとの心の中には魚が住んでいるというお話」という夢の話を投稿しているので、是非読んでみてくださいね。


***

私は、街の中で鬼ごっこをしていた。
スマートフォンに届くミッションに従いながら、ハンターから逃げ回るという、テレビでお馴染みのゲームに参加していたのだった。

ゲームも後半に差し掛かった頃、他のプレイヤー達と指定の場所に移動している最中、ハンターが遠くからこちらに走ってくるのが見えた。

このままでは、一網打尽にされてしまう。
そう思った私は、集団から飛び出して、大声をあげてハンターの気を引きながら走り出した。

鬼ごっこ(影織切り絵)

ハンターの足音が迫ってくる。
作戦成功だ。

そう思って小さく笑った時、後ろから近づいてきているハンターが低い声で私に話しかけてきた。
「おい、あいつら、あんたの走り方が変だって笑ってるぞ」
「え…?」
走りながら振り返ると、先ほどまで一緒にいたプレイヤー達がこちらを指差しながら、腹を抱えて大笑いしている。
「走り方面白い」「笑い過ぎて涙が出る」「変な後姿」
彼らの会話が切れ切れに耳に届く。

体の力が抜けた。
あぁ、あいつらは、必死にみんなを守ろうとした私を、安全な場所から嘲笑っているんだ。
なんのために、こんなに頑張って走っていると思う。
なんで、笑われないといけない。

虚しさにがくりと膝をついたところを、ハンターがそっと肩に手を置く。
私は脱落した。


2017-05-22

デフォルメされた髪の毛の描き方

先日、とある作家さんから「デフォルメされた髪型をどんな風に描いていますか?」と質問を受けたので、改めて考えて、まとめてみました。

・つむじの位置を決めて、前髪と後ろ髪を分けて描く

私が描く人物は、髪の毛を結んでいる事が多いのですが、前髪~頭頂部と結んだ先という風にパーツに分けて描いています。
ちなみにつむじの位置が決まると、特に横顔のパーツの配置をしやすくなります。
例えば、まっすぐ向いている時に比べると、上を向く時につむじの位置が後ろに下がりますし、下を向く時につむじの位置が前に出ます。ですので、まずつむじがどのあたりか意識することで、バランスがとりやすくなるのではないかなと思います。
つむじの位置の説明
つむじが動くよ


・髪の毛の流れる方向を統一する

流れる方向がバラバラになっているよりも、一方向に決まっている方が髪の毛らしさが出ます。

・あえてぶっとんだ髪型にしてみる

デフォルメなんだから思いっきり振り切って、日常的に見るような髪の毛らしくない髪の毛もありなんじゃないか、とも思います。
例えばこれ。仏像の螺髪か!とツッコミたくなるような髪型ですね。
影織のリトの切り絵


例えばこのイラスト。街を歩いている時や電車の中で、実際にこんな頭の人にお目にかかることはそうそうないでしょうが、グラフィックデザインとして素敵ですよね。

Swirly Curls Bad Hair Day | designed by createsk8

写実を描くのでなければ、髪型はこれくらいぶっ飛んでてもOKだと思います。

「写実だけどリアルさが足りない」「デフォルメしたけれどデフォルメしきれていない」のように悩んでしまうという時、リアルとデフォルメどっちつかずになっている事があります。そんな時は思い切って、どちらかに大きく振り切れてみてもよいのかもしれません。


2017-05-18

どうして魔女カラバは意地悪なの?「キリクと魔女」考察

「キリクと魔女」という、フランスで大ヒットしたアニメ映画の原作を読みました。

あらすじは以下の通りです。
キリクが生まれたアフリカの村は、魔女カラバの恐ろしい呪いにかけられていた。泉の水は涸れ、魔女を倒しに出掛けた男たちはすべて魔女に食われ、村に残っているのは、女子供と老人だけ。「どうして魔女カラバは意地悪なの?」。持ち前の好奇心と行動力で、小さなキリクは賢者が住むという“禁じられたお山”へ旅に出る・・・   (「キリクと魔女 [DVD] 」Amazon説明文より)

作者ミッシェル・オスロは、幼少期をギニアで過ごしており、その体験が作品のベースになっているそうです。
神話のような独特な世界観の作品で、あっという間に読んでしまいました。
今日はその感想や考察をまとめてみたいと思います。

※以下、ネタバレがありますので、ご注意ください。


***

この物語が、一般的な神話や昔話と大きく異なると感じられるのは、「悪役」の定義だと思います。

普通、悪役となる鬼や魔物、魔女はただ悪であるとしか説明されず、主人公はその悪役を倒し、平和が取り戻されたと締めくくられるものです。
しかし本作では違います。

***

キリクは、魔女カラバが意地悪な理由を周囲の大人に問い、納得のいく答えを求めて賢者(=キリクの祖父)のもとへ向かいます。

賢者は、泉の水が枯れたのは魔女のせいではないし、魔女は男達を貪り食ってなどいない、と説明します。
魔女は、背骨に毒のトゲが打ち込まれて苦しんでいるため、人々にあらゆる苦しみを与えることを願っている、と賢者は話します。

魔女がトゲを抜かない理由として、賢者は2つ理由を話します。
もしだれかがトゲを抜いたら、魔女はその瞬間だれも想像できないくらい苦しむことになるからだ。このおそろしい苦しみのことがあの女に分かったのは、トゲを打ち込まれている間、動かないように男たちに押さえつけられていたときだ。たとえどんなことがあろうとも、あれを二度と味わう気はない (p.111)
あのトゲなのだ、あの女に魔法使いのいろんな力を与えているのは、もしトゲを抜くと、同時にあの力も取り上げてしまうことになる (p.111)
その話を聞いて、キリクはカラバのトゲを抜くことを決意するのです。

様々な障害を乗り越え、キリクはとうとうカラバのトゲを抜きます。
そうして魔女の力から解き放たれ、「新しいわたし」になったカラバに、キリクは求婚します。
カラバはキリクが子供であることを理由に断りますが、カラバが求められてキスをすると、キリクは一気に成人になり、二人は結ばれるのです。

***

ここで魔女に魔力を与える「トゲ」は、トラウマやコンプレックスの象徴と言えるのではないかと思いました。
周囲の人間に打ち込まれた「トゲ」がある事で、その痛みを原動力として闘い、地位や名誉、成功などを手に入れることができるのでしょう(物語の中では、カラバは小鬼を多数従えて、籠いっぱいの金の装身具を持っているということでそれが表現されていると考えられます)。
カラバは、原動力としての「トゲ」を失ってしまえば、自分が無力で傷つきやすい、弱き者になってしまうのではないか恐れているのではないでしょうか。
その「トゲ」はまた、それを打ち込まれた苦しみを忘れてはならない、こんなものを打ち込むような人間がいる世界への憎しみを忘れず、世界を常に見張り続けていなければならないという自分への戒めにもなっているからこそ、手放しがたいのかもしれません。

***

カラバはトゲを抜かれ、魔力を失います。しかし、キリクにキスをして成人に成長させてしまうのです。呆然とするカラバに、キリクはやさしくこう言うのです。

ほらね、おまえとは失ってしまったわけじゃないんだ。力のすべてを…(p.127)
痛みのもとである「トゲ」を失って、カラバは自由になります。
恐れをを抱かせたり、人をコントロールするような力を失ってしまった、でもカラバには愛する力がある、とキリクが諭しているように読めました。

***
シンプルでわかりやすい話の筋でありながら、ファンタジーとしても、哲学的、神話学的にも深読みできる作品でした。
DVDも出ているようなので、是非見てみたいなと思います。


2017-05-16

文字を切る時は仕上げが大事というお話

今日は、プログラミングのソースコードを切ってみました。

よしできた、とアップして、後から見返してみると、字が不揃いな印象を受け、「うーむ?」となったので、少し修正しました。

影織のプログラミング切り絵(Before)
Before


影織のプログラミング切り絵(After)
After

若干の差ですが、Afterの方が洗練され、スッキリした印象を受けないでしょうか。

直したポイントは以下の通りです。

縦線は垂直に、横線は水平に

微妙にナナメになっていると、ずれが気になります。

線の太さを統一

線の太さの微妙なばらつきも気になります。太くなり過ぎてしまったところを直すのは難しいので、細すぎる線を太くしましょう。
また、一本の線の中で細い部分と太い部分があるのも気になります。一本の線は均一な太さにしましょう。

文字の下揃えを統一

文字が一直線上に並ぶよう、下揃えになっているか確認しましょう。

***

今回は手書きアナログではなく、デジタルの文字を切ったので、微妙なずれがかなり悪目立ちしてしまう結果となりました。

できたらすぐ見せたくなってしまうのが人情ですが、最後の仕上げこそ、手を抜かないでじっくりやりたいなと思いました。


2017-05-15

悩み事や行き詰まりでぐるぐる思い悩んで立ち止まってしまう時の考え方

いま悩んでいる事は未来の自分が解決してくれるから大丈夫。
影織切絵・未来の自分に問題を託す


***

悩んでいる事、行き詰まっている事があると、真面目で思いつめやすい人ほど、その事をずっとぐるぐる悩んでしまいます。もっと言うと、その事に悩んでいる事自体を思い悩んでしまう、なんて事もあります。
今日はそんなときの考え方を書いてみます。

***

私はいま、職場の研修まっただ中で、毎日色々と新しい事を学んでいますが、
その中で、できない、わからないと行き詰まってしまう事が日に何度もあります。
しかし、しばらくその問題に取り組んだり、色々調べたりしているうちに、ある時するっと解決できる、ということが何度もありました。
その経験から、現在の悩みは未来の自分が解決してくれる、と考えると、思いつめ過ぎないのではないか、と思ったのです。

思い返してみましょう。
一週間前に悩んでいた事で、今でも悩んでいる事はどれくらいあるでしょうか。
あるいはもっと長いスパンで、一ヶ月前、半年前、一年前に悩んでいた事で、ずっと解決していない問題はどれくらいあるでしょうか。
いくつかは思い当たるかと思いますが、結構な割合で解決していて、ひょっとすると悩んでいた事自体忘れてしまっているものもあるのではないかと思います。

もちろん、時が解決してくれる、と言ってうやむやにしたり、問題を見て見ぬふりして流してしまっては、解決できないでしょう(そうするとむしろ、余計に悪化してしまうこともあります)。
そうでなく、目の前の事に取り組みながら解決を待つことで、ある日乗り越えるタイミングがやってくる、と思うのです。

だから、思い悩み過ぎる人は、今日の自分にできる精一杯をして、明日の自分に解決を託すことで、気持ちが楽になれるのではないかなと思います。

これまでちゃんとやってこれたように、未来の自分も、きっとうまくやってくれます。
そういう思いを「自信」と呼ぶのかもしれません。


2017-05-12

自宅にある道具で簡単に製本する手順

COMPLEX展に出している小説は、頑張って自分で製本しました。
今日はその方法について書きたいと思います。

今回は無線綴じ、つまり糸や針金を使わずに、背を糊付けして固める方法で製本しました。
※作成にあたり、右のHPを参照しました。http://www.less-is-beautiful.com/20150118_new-years-card-2015/

材料

・印刷した小説(B5版)
・ボール紙(A3サイズ・表紙の補強用)
・きれいな紙(A3サイズ・表紙の装丁用)

道具

・クリップ(ダブルクリップ、目玉クリップなど大きなもの)
・カッター
・ボンド
・両面テープ


手順

A. 印刷した小説を冊子にする


①印刷した小説を揃えて、冊子の背になる側以外の三辺をクリップで留める

・背=本棚に本を立てた時にこっちを向いている、タイトルの書かれている部分、です。
・ここできちんと揃えておかないと、のちのちうまく接着できないので注意。

②背になる部分に等間隔(今回は2cmおき)で切れ込みを入れていく。

切れ込みが見えるでしょうか

上から見たらこんな感じ。綴じる全ての紙に切れ込みが入るよに。
ボンドがしみわたる部分の表面積を広げるための一工夫です。

③先程切れ込みを入れた背の部分全体にボンドを均一に塗り、背の全面を覆うようにすぐにティッシュを上に乗せてくっつける(今回はB5の長辺に糊付けしたので、ティッシュ2枚分縦に並べて乗せました)。

・あとで処理するので、この時に、ティッシュをはがしたり、切って整形したりしないで、そのまま乗せてよいです。
・上の写真のように冊子を平置きして、横から塗るとよいです。背の部分上にして、上からボンドを塗ると、垂れてきてページがくっついてしまいます。
・ここできちんと糊付けしないと、ページが脱落してしまうので注意。
・ボンドは少しずつ乗せ、指やへらでボンドを伸ばしていくとよいです。

④ティッシュがふわふわ浮き上がっているので、ティッシュの上からさらにボンドを塗る

・塗っている間に、ティッシュが破れてしまうことがありますが、びりっびりにならなければ大丈夫です。優しく塗りましょう。

⑤乾かす。


B. 表紙作り

乾くのを待つ間に、表紙を作りましょう。

①ボール紙を、表紙となる紙より一回り小さく切る。

・各辺の周囲が1.5〜2cm分くらいずつ余るとよいでしょう。

②冊子を開きやすくするため、ボール紙の中心から左右2mmずつのところにカッターで浅く切れ込みを入れる。

折り目を付けたところ。
・ここが背になります。Aで作った冊子を接着する部分です。
・切れ込みが入ったら、それに合わせて折り目をつけておきましょう。
・今回は2mmずつ、計4mm分の背の厚みを見積もりました。冊子の厚さによって、切れ込みを入れる場所を変えてください。
・カッターに力をこめてボール紙を切断しないように。


③ボール紙の背の部分以外に両面テープを貼り、表紙の紙と貼り合わせる。

半面貼ったところ

・いっぺんに貼るのでなく、まず表紙、貼り終わったら裏表紙というように片面ずつ分けて貼るとよいです。
・表紙の紙の中心とボール紙の中心を揃えましょう。このあとはみ出している装丁用の紙を折り込んでとめますが、その折り込む部分が上下、左右均等な長さになっていると美しいです。

④貼り終わったら、はみ出している表紙装丁用の紙の角の部分に切れ込みを入れ、すべて内側に折り込み、ボンドで留める。

こんな感じで切れ込みを入れて

上の一辺を折り込んで留めました。

⑤乾かす。


C. 合冊


乾きました。合冊しましょう。


①Aで作った冊子のはみ出しているティッシュを切る。


・この時、ぱらぱら開いてみてページが落ちてこないか確認しましょう。

②背の部分にボンドを塗り、表紙と貼り合わせる。

はみ出たティッシュを切ったもの。
背の部分(写真右側)と表紙の背の部分を留めましょう。

③乾くのを待つ。


完成…!


試行錯誤しながら初めて作りましたが、乾燥時間を含めないで1時間半くらいでできました。